「52間の縁側」を手がけた山﨑健太郎さんの建築コンセプト【情熱大陸5/10感想】

番組感想 番組感想

5月10日放送の『情熱大陸』の感想記事です

建築家・山﨑健太郎(やまざきけんたろう)さんの、人と人がつながれる場所へのこだわり。
山崎さんが目指すのは、“施設”とは名ばかりの、当たり前のように人が暮らす場所、決められた役割をこなすだけの閉じられた空間ではなく、誰もが行きかえる空間。

そんな“人の居場所”を建築する山崎さんの、その場所に住む人たちへの想いにフォーカスして書きました。
この記事で、人が好きな建築家の神髄が少しだけ分かるかもしれません。

“人とのつながり”を大切にする山﨑健太郎

例えば要介護者などはどうしても閉鎖的な場所でサービスを受けることになる。
施設と言う場所の理由もあれば、人の心という理由もあるだろう。
そんな空間に必要なのは“つながり”だ。
施設はもっと開けて、誰もが自由に交流できた方が良い空間になると、山﨑健太郎は考える。

誰もが自由にくつろげる「52間の縁側」

2022年12月、千葉県八千代市にとあるデイサービス施設がオープンした。
デイサービス“施設”とは言ったが、そんな仰々しいものではない。
それは「縁側」だ。
いつかの昔、おじいちゃん、おばあちゃん家で見た、あの縁側だ。
長ーく伸びた縁側がそこにあるのだ。


52間の縁側』は山崎さんが設計を手がけた誰でも来れるデイサービス。
例えば誰かの家に訪問する時、普通なら玄関前でインターホンを押すだろう。
しかし縁側ならそんなことはしない。
大人でも子どもでも、勝手に入って腰かけて過ごせばいいのだ。
そんな開かれた空間を目指し、山崎さんはこの縁側を設計した。
誰かとおしゃべりするもよし、ひとりで本を読むもよし、ごろ寝しても、食事でも、自分のしたいことを好きにできる。


ただ、そうは言ってもデイサービスだ、この場所に来る人たちには目的がある。
しかし役割らしい役割はない。
「介護をする側、される側」ではなく「人と人」、この場所が必要な人を待つための空間と、そこで交流する人々、さながら大勢の親戚が団らんする場所なのだ。
日中は近隣の人たちも中に入り、利用者の方たちと交流する。
山崎さんもその内の一人だ。


山崎さんは思い思いに過ごす人たちを見て嬉しそうに声をかけて回っていた。
名前を呼び、交流をし、同じ縁側に腰をかけてインタビューに答えていた。
失礼な話、普通のおじさんだ。
勝手なイメージだが、有名な建築家というと、プライドが高く、自身が手掛けた建築物の自慢話をしていると思っていた。
しかし山崎さんはこの場所で、職人さながら石を積み上げ、竹を割り、泥臭く作業をする。
山崎さんにとって、これも自身が描く交流で、建築のあり方なのだ。


JDNに掲載された、山崎さんのインタビュー記事です

長い縁側のイメージ

※画像はイメージです

「はくすい保育園」「新富士のホスピス」からみる山崎さんのコンセプト

山崎さんは1976年千葉に生まれ、32歳で独立をはたす。
その6年後、斜面に建つ、千葉県の「はくすい保育園」で注目を集める。
壁がなく、床が段々になっていて、子どもたちが登ったり下りたりしながら遊べる大きな家だ。
こんな開放的な空間で追いかけっこするのはきっと楽しいだろう。


静岡県にある「新富士のホスピス」はどうだろうか。
自然の光にあふれ、さわやかな風が吹き抜ける憩いの場だ。
中を歩くだけでもリラックスできそうで、まるでちょっとした自然公園の中。
大きなガラスで他の人の顔が見えやすい作りになっていて、やはり人とのつながりを意識しているようだ。


山崎さんは、そこを利用する人の気持ちになることを徹底していた。
単純に使いやすいかどうかだけではなく
どんな気持ちでここに来るのか
どんな気持ちでここを過ごすのか
そんな“人の心”に向き合いながら、自身の設計に落とし込んでいくのだ。


建築は服みたいなもの」と山崎さんは言う。
リラックスしたい人はリラックスして、シャキッとしたい人はシャキッとする。
つまり、自身の設計した建物のこだわりや評価よりも、「その場所をそこにいる人たちがどう使うか」が大切なのだ。
新品の服が着慣れていって、自分だけの味が出るように、建物も、そこを利用する人たちによって、その人たちの特色が出る場所になる。
ある人にとっては身体を休める憩いの場、ある人にとっては交流を楽しむ団らんの場、そうやって一人一人、自分に合った場所となることが、“当たり前のように人が暮らす場所”なのではないだろうか。

開放的なホスピスのイメージ

新たに手がける「開放型刑務所」

人とのつながりを大切にする山崎さんだが、そんな彼に新しい依頼が舞い込んでくる。
刑務所だ。
求められているのは、“開放型刑務所”。
その参考のため、山崎さんはノルウェーに来ていた。


ノルウェーのハルデン刑務所、受刑者の社会復帰を目指す場所だ。
中に入ると、リビングルームがあった。
テレビがあり、観葉植物があり、大人数で腰かけるソファーがある。
スポーツ観戦をしながら、コーラとポップコーンで盛り上がっている様子が想像できてしまうほど普通の内装だ。


スタッフにも話を聞きながら、山崎さんは日本に建てる刑務所のイメージを練る。
監獄から住まいに戻してあげる
そう言いながら、建築で何ができるんだろうかと考えているようだ。
それはもちろん社会復帰する受刑者たちのために。


“開放型刑務所”というと、世間の問題もある。
もし自分の近所にそれが建築されるとしたらどうだろうか。
「へぇ、いいじゃん」
となる人は少ないはずだ。
当然反発の声も上がるだろう。
そしてそれは鎮圧するものではない。
長い時間をかけて、信頼を得なければならないのだ。


その場所の基盤を作るのが山崎さんの役目。
だからこそ、山崎さんは頭をひねり、試行錯誤しながら案を出していく。
受刑者たちが当たり前に過ごせる場所で、当たり前に人とのつながりを保てる場所を。
その“つながり”こそが、信頼の第一歩なのだから。

改めて思う、山崎さん自身の建築のあり方

沖縄にある障がい者就労所「くくるばな」で、山崎さんは一人一人と交流していた。
名前を呼び、決して他人行儀ではなく、仲良くおしゃべりする。
仕事の状況や、どこに行ったかなど、他愛もない話で盛り上がる。
子どもたちが遊びに来て、それを山崎さんは優しく見守っていた。


子どもたちの顔を見ながら、この空間が良いものだと再認識しているようだ。
障がい者だろうと、決して閉鎖的になるのではなく、当たり前のように交流し、開放的で、にぎやかで自由だ。
そしてそんな空間を作れる建築を一生懸命やる、それが大事だと語った。
そう笑顔で言いながら、この場所を楽しむ山崎さんは、これからも誰もが人とつながり、当たり前に暮らせる場所を作り上げていくのだろう。

就労所の人と子どもたちの交流

どこで観れる?見逃し配信は?

TVerで5月17日(日)22:59まで

まとめ

記事の途中でも書きましたが、結構泥臭い方なんだと思いました。
人との交流を大切にっていうのは分かりますが、そのために現場作業までやる方は中々見ないですよね。

・・いや正直建築家さんに詳しいわけではないので、ホントにイメージで言ってるだけなんですけど・・。
グッドデザイン大賞とか、数多くの賞と取ってる方ですから余計に意外でした。

でもそういう作業をしながらも、楽しそうに周りの人たちと話してるのを見ると、純粋に人が好きなんでしょうね。
それなら「人の気持ちになって建築もできる」って納得しました。
この先山崎さんが、どんな建築で人の暮らしを作っていくのか楽しみです!

それではここまで読んでいただきありがとうございました!

当たり前の暮らしに感謝できる人になりたいですね。


前回の感想はこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました